ファクタリングでは一括返済できないと様々な問題が生じることがあります。
放っておくと裁判になる危険性もあるため、一括返済が難しくなった場合の対処方法を紹介しましょう。
適切に対処すれば借金が膨らむといったトラブルも回避できます。
さらに、返済を踏み倒してファクタリングを無かったことにできないか考えている人のために、踏み倒すことが難しい理由とリスクについても取り上げます。
ファクタリングに潜むリスクを把握して、安全に利用できるようになりましょう。
手数料 | 1%~14.8% |
---|---|
上限額 | 無制限 |
振込時間 | 最短2時間 |
手数料 | 1.5%~ |
---|---|
上限額 | ~2億円 |
振込時間 | 最短2時間 |
手数料 | 1%~ |
---|---|
上限額 | ~5,000万円 |
振込時間 | 最短1時間 |
なぜファクタリングで一括返済できなくなるのか?
まずはファクタリングで一括返済ができなくなる理由について解説します。
返済に困る状況が、どのように生み出されるのか確認しましょう。
本来、返済とは無縁であるはずのファクタリングの利用者に返済義務が生じる仕組みも分かります。
売掛先の企業からの支払いが遅れる
返済ができなくなる理由のひとつは、売掛先の企業にトラブルがあって支払いが遅れるためです。
本来、ファクタリングは売掛先がファクタリング会社に直接未払い分を入金する契約になっています。
しかし、ファクタリングの多くを占める2社間ファクタリングでは売掛先から受け取った代金を買掛先の企業または個人がファクタリング会社に支払います。
通常、売掛先が支払えなくても利用者に返済義務が生じることはないのですが、ファクタリング会社に償還請求権が認められている場合は、利用者が代わりに未払い分を支払う必要があります。
ファクタリングの支払いは一括払いが慣例ですから、突然の高額な支払いに対応できない事業者も少なくありません。
受け取った売掛金を使った
売掛先の企業から受け取った売掛金を何らかの理由で使ってしまい、ファクタリング会社に一括返済できない場合もあります。
先ほども説明したとおり、2社間ファクタリングでは最初に売掛先から利用者に売掛金が渡されます。
すぐにファクタリング会社にその売掛金を渡せば問題ありませんが、事業の資金繰り事情によっては売掛金を使いこんでしまう誘惑にかられます。
この誘惑に負けて返済が困難になるケースもあります。
売掛先が直接ファクタリング会社に支払う形式であれば、こういったトラブルは生じないでしょう。
一括返済できない状況を放置するとどうなるのか
一括返済できない状況に陥ると半ばパニックになり、返済を無視してしまうことがあります。
どうにもならないことから目を背けたくなる心理は分かりますが、放置は状況を悪化させるだけです。
一括返済を放置することで、どんなトラブルが発生するのか見ていきましょう。
売掛先に債権を売却したことがバレる
期日になってもファクタリング会社に支払いをせずにいると、売掛先の企業に債権譲渡について通知される場合があります。
2社間ファクタリングの契約をしていて、償還請求権をファクタリング会社が持っていない場合は高い確率で知らされるでしょう。
債権譲渡に関する通知では、売掛債権がファクタリング会社に譲渡されたことが記載されているため、ファクタリングを利用したことを売掛先の企業に知られます。
通知の後はファクタリング会社のスタッフが売掛先に訪れたり、返済を催促する郵便物を送ることも考えられます。
売掛先の企業との関係は悪化する危険性があるでしょう。
ファクタリング会社から損害賠償請求で訴えられる
ファクタリング会社の償還請求権が認められている場合、利用者が支払いを無視しているとファクタリング会社が損害賠償を求めて訴訟を起こすことがあります。
支払い期日を過ぎると、まずは支払いを催促するメールや郵便物が届くようになります。
それでも支払いせずに放置していると支払う意思が無いと判断され、裁判になることもあります。
裁判では損害賠償請求される可能性が高いです。
未払金だけでなく、裁判費用や遅延損害金といった支払いも求められるため、総支払額は本来の金額よりも大幅に膨れ上がります。
業者に借金するよう強要される
利用したファクタリング会社が悪質な業者でヤミ金とつながりがある場合、借金をして返済するよう強要される危険性もあります。
ヤミ金から借金することになるので金利は20%を超えます。
資金繰りを改善するために利用したサービスで、かえって資金のやり繰りに苦しむことになるでしょう。
厳しい取り立てにも注意が必要です。
会社に取立人がやって来て事業を邪魔されるケースも考えられます。
ヤミ金は標的にした相手から全てを奪おうとします。
終わりのない返済に苦しむことになるでしょう。
ファクタリングで一括返済できない場合の対処方法
ファクタリングでは大きな資金が動くことがあるため、一括返済ができないことが珍しくありません。
返済できずにいると様々な問題が発生するため迅速な対応が必要です。
これから返済が難しい場合の対処方法を解説するので、それぞれの特徴と、どんな状況で利用するのかを確認してください。
弁護士に相談する
返済の問題は1人で解決するよりも専門家の力を借りましょう。
ファクタリング関連のトラブルで実績のある弁護士がおすすめです。
ファクタリング会社のなかには実態がヤミ金業者で違法な営業をしているところもあります。
契約内容に違法性がある場合、契約を無効にできる可能性があるでしょう。
相手もそれを知っているため、弁護士に対しては粗雑な対応はできません。
こちらの話が通りやすくなるため、強引な取り立てなどのトラブルが解決することもあります。
支払い方法に関する交渉をしてくれるのも弁護士の強みのひとつです。
一括返済できないケースでは任意整理をファクタリング会社に提案して、分割払いに変更できる場合もあるでしょう。
資金繰りが楽になります。
自己破産をする
何をどうやっても返済できそうにない場合は自己破産をするのも選択肢のひとつです。
自己破産をする場合は弁護士とよく相談してから決めることをおすすめします。
返済義務から開放されるのは大きなメリットですが、同時にデメリットも抱え込むことになります。
代表的な自己破産の欠点は次の3つです。
- 7年間、新規のローンを組めなくなる
- ファクタリング業者のブラックリストに入る
- 新規のクレジットカードが作れなくなる
7年間もの長期に渡り借入ができなくなるため、業種によっては事業を継続できなくなるでしょう。
できたとしても新しい挑戦が難しくなるなどの制限を受け入れることになります。
30代など若い事業家にとっては厳しい選択です。
職業選択の自由も一部失います。
警備や金融業界の求人に応募しても採用されることはありません。
生活が一変する可能性のある選択だと十分に認識したうえで行ってください。
借金の借り換えをする
ファクタリングは一括返済にしか利用できないため、十分な資金が無い場合は返済ができずに期日が過ぎてしまいます。
これを防ぐために新たな借金をして一括返済します。
新たな借金をする場合は金利が低く、1回の支払い額を自由に決められるところを選びましょう。
消費者金融の多重債務者が利用することもある、おまとめローンは比較的金利が低く使いやすいです。
他にはビジネスローンなども気軽に利用できます。
ファクタリングは延滞時の金利が高く設定されているため、借り換えは迅速に行いましょう。
一括返済できない状況に陥らないために心がけること
一括返済できない状況に陥ると、そこから簡単に抜け出せない場合があります。
償還請求権などファクタリングの契約内容について確かめずに利用したケースではなおさら難しいでしょう。
困難な状況に陥らないために、ファクタリングを利用する際に心がけるべきことをお伝えします。
資金繰りを改善する
一括返済できない理由の多くは資金不足です。
資金に余裕があれば急にファクタリングの返済を求められても対応できます。
資金に余裕を持たせるためにはキャッシュフローの改善を普段から心がけましょう。
お金が入って来る機会が増える、または入ってくる額が増え出ていく額が減れば、それだけ余剰資金が増えます。
キャッシュフローを改善するために、まずは利益を増やすところから始めましょう。
利益を増やすには収入を増やすか支出を減らすことが重要です。
利益を増やすのは簡単ではないため、支出の削減から取り組んでみてください。
事業所の家賃や、人件費などメスを入れられる部分が多くあります。
在庫管理も効果的です。
売上が見込める在庫でも多すぎると事業資金を圧迫します。
不足しない程度に抑えれば、その分をいつでも使える運転資金に回せます。
手数料が安いファクタリングを選ぶ
実質的な支払い額を減らすために手数料が安いファクタリング会社を選びましょう。
手数料が少ないほど手元に資金が残りやすいです。
とくに譲渡する売掛債権の金額が大きい場合は手数料が高額になるため、時間をかけてでも安いところを探してください。
ローン金利とは異なり、放置しても支払い額が増えないイメージがあるファクタリングの手数料ですが、手数料が高いところは延滞時の罰則金利が高く設定されていることもあるので注意が必要です。
支払いが遅れると結局予想外の出費になります。
返済義務を負わない契約を結ぶ
ファクタリングで一括返済できない状況に陥る最大の理由は返済義務を負わされているからです。
契約でファクタリング会社の償還請求権を認めたばかりに、本来不要な支払いを強要されます。
ファクタリングには償還請求権が求められない取引形式もあるので、それを利用しましょう。
3社間ファクタリングは売掛先の企業にファクタリングの利用が知られますが、利用者に支払い義務が発生することがありません。
また、3社間ファクタリングは手数料が安いメリットもあります。
2社間ファクタリングに比べて半分以下の金額に抑えられることが多いので、キャッシュフローへの影響も軽いです。
売掛先の企業から同意を得る必要がある難しさや、その後の取引に悪影響が及ぶ危険性がありますが、それを考慮しても支払い義務を回避できるメリットは大きいため、資金繰りが苦しい時は検討してみましょう。
利用するファクタリング会社を変える
手数料が高い、償還請求権がファクタリング会社に付与されているといった不利な条件でファクタリングを契約している場合は、ファクタリング会社の乗り換えを考慮するのが懸命です。
売掛債権を使った資金提供サービスであるファクタリングは金融機関のローンよりも手軽に利用できるため、申し込む機会が増えます。
そのたびに不利な条件で高額な手数料を請求されては大きな負担になるでしょう。
利用機会の多いサービスだからこそ負担は減らすべきです。
乗り換えるうえで重要なのは手数料です。
ファクタリングの手数料の相場は取引内容によって変わりますが、2社間ファクタリングであれば13%~30%ほどです。
20%を超えると高いとされるのが一般的なため、15%を切る手数料を提示してくれるところを見つけましょう。
相見積もりをして比較するのも効果的です。
取引を優位に進めることができます。
ファクタリングの踏み倒しをおすすめできない理由
ファクタリングで一括返済できないと踏み倒しを検討したくなりますが、状況を悪化させるだけなので選択肢から外しましょう。
これから踏み倒しのリスクを解説するので、どれだけ割に合わない行為か確かめてください。
罪になる危険性がある
ファクタリングの返済を踏み倒すと横領などの罪に問われることがあります。
2社間ファクタリングの多くは売掛先から受け取った売掛金をファクタリング会社に渡します。
ファクタリングにおいて、利用者には売掛金を一時的に保管しているだけで、迅速にファクタリング会社に売掛金を渡す義務を負っています。
そのため、売掛金を渡さないで踏み倒すと横領に当たる危険性があります。
他にも詐欺罪などが適用される場合もあるでしょう。
ファクタリング会社の出方次第では刑事告訴のリスクがあることも十分考慮すべきです。
多くの場合、法的措置の内容は民事訴訟で損害賠償を請求される程度ですが、最初から踏み倒すつもりでファクタリングを契約したと判断されたら、悪質なケースとして刑事告訴の対象になる危険性があります。
安易な踏み倒しは控えたほうが懸命です。
様々な方法で返済を迫られる
2社間ファクタリングでは債権譲渡登記をするのが一般的です。
債権譲渡登記は法律上の手続きで、債権のような形のない動産を特定の相手に渡ったことを証明します。
法的な証明書となるため、その効果は絶大です。
裁判などで債権が自分のものだと強く主張でき、また認められます。
ローン契約とは違い、債権譲渡登記をしても新規融資の審査に影響が無いため安易に債権譲渡登記を受け入れるケースが多いですが、一度手続きをしてしまうと債権に関する全ての権利を失うため、売掛先から受け取った売掛金について自分のものだと主張できなくなります。
支払いを踏み倒そうとしても法的な所有者であるファクタリング会社が返済を要求したら、その主張が公の場では認められるでしょう。
そのためファクタリング会社は強気で返済の催促をしてきます。
事業所に支払いを求める通知が郵送されるのはもちろん、売掛先の企業に通知が行くこともあります。
もちろんこれらは正当な行為です。
最終的には裁判で資産差し押さえなどの強制執行が行われる場合も考えられます。
ファクタリングの返済に関するよくある質問
ファクタリングの返済には債権譲渡登記といった法律上手続きが関係してくることもあり、思った以上に複雑です。
より理解を深めるためにも、ファクタリングの返済に関するよくある質問を確認しましょう。
返済トラブルを回避する手助けにもなります。
支払いを分割にできますか?
基本的に売掛債権の代金を分割払いにすることはできません。
ファクタリングでは売掛先の企業が期日までに代金を支払うことを前提とした債権の買取を行います。
一括払いで受け取る売掛金であるため、ファクタリング会社も一括で支払うことを要求します。
また、資金提供サービスのような業態において分割払いにできるのは貸金業者だけです。
それ以外の事業者が分割払いを利用すると法律に違反することになります。
もし分割払いに対応してくれるようならヤミ金の可能性があるので警戒してください。
支払いを待ってもらうことはできますか?
状況によっては短期間であれば待ってもらえる場合があります。
支払い期日になっても売掛先の企業が支払ってくれず、相手方から数日待って欲しいと連絡が来ている場合は、そのことを伝えることで融通してくれるファクタリング会社もあります。
ただし、長期間の先延ばしは期待できません。
支払い期日が決まっていますから、期日が過ぎれば延滞に伴う罰則金を請求されると認識してください。
気をつけたいのは支払い期日の延期を認めるふりをして遅延利息を請求してくる悪質なファクタリング会社があることです。
簡単に期日の延長に応じてくれるからと、何度も延長をお願いしていると知らぬ間に利息が膨れ上がっていきます。
無駄なリスクを抱え込まないためにも支払いは期日までに済ませましょう。
まとめ:ファクタリングで踏み倒しは不可能!返済できない場合の借金には注意
ファクタリングで一括返済できない場合、取れる手段は限られています。
返済を免れる方法として自己破産がありますが、これは最終手段で、利用すれば生活が大きく様変わりするでしょう。
実際のところ、現実的な対処法は借金の借り換え一択になります。
新たな借金は信頼できる企業に依頼してください。
ファクタリング会社が勧める業者を選ぶのは危険です。
支払いを踏み倒すのは現実的ではありません。
企業の場合、債権譲渡登記を行っているため、支払いから逃げることは実質的に不可能です。
返済でトラブルにならないために、支払い義務を負わない3社間ファクタリングを選んだり、普段からキャッシュフロー改善の取り組みをするなど、対策を普段から心がけましょう。