医療機関の資金調達方法の1つに医療ファクタリングがあります。
医療ファクタリングは診療報酬債権を使ったファクタリングでスピーディーに資金調達ができるのが魅力ですが、具体的な仕組みやメリットがわからないという方も少なくありません。
そこで今回は、医療ファクタリングを安心して利用できるように
- 医療ファクタリングの仕組み
- メリット
- デメリット
など利用前に知っておくべき情報を紹介していきます。
医療ファクタリングってどんなサービスなの?資金調達の仕組み
医療ファクタリングは「診療報酬債権ファクタリング」とも呼ばれる医療機関専用の資金調達方法です。
一般的なファクタリングでは取引先から将来的に振り込まれる売掛金を買い取ってもらうことで現金を調達します。
それに対して医療ファクタリングは診察をした後に社会保険診療基金や国民健康保険団体連合会に対して請求する診療報酬(レセプト報酬)を買い取ってもらうことで、診療報酬が支払われるより前に資金を調達する仕組みです。
通常なら患者の自己負担額3割のみが診察当日に支払われ、残りの7割は診療報酬を請求しても支払われるのは2~3か月後になってしまいますが、医療ファクタリングを利用すれば前倒しで振込をしてもらえますよ。
手数料 | 1%~14.8% |
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上限額 | 無制限 |
振込時間 | 最短2時間 |
手数料 | 1.5%~ |
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上限額 | ~2億円 |
振込時間 | 最短2時間 |
手数料 | 1%~ |
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上限額 | ~5,000万円 |
振込時間 | 最短1時間 |
医療ファクタリングは3種類ある!
医療ファクタリングは診療報酬(レセプト報酬)を買い取ってもらうことで資金調達をする方法ですが、買い取ってもらうレセプト報酬によって3種類に分類できます。
- 診療報酬ファクタリング
- 介護報酬ファクタリング
- 調剤報酬ファクタリング
診療報酬ファクタリング
病院や診察所などの医療関連施設が診療報酬債権を買い取ってもらうファクタリングが診療報酬ファクタリングになります。
介護報酬ファクタリング
介護施設をはじめとした介護サービス事業者が介護報酬債権を買い取ってもらうファクタリングが介護報酬ファクタリングになります。
調剤報酬ファクタリング
調剤薬局が調剤報酬債権を買い取ってもらうファクタリングが調剤報酬ファクタリングになります。
医療ファクタリングで資金調達をする3つのメリット
医療機関が資金調達をする場合、ファクタリング以外にも福祉医療機構や日本政策金融公庫などから融資を受けるといった手段もあります。
ですが医療ファクタリングを利用して資金を調達すると次のようなメリットがあります。
- 資金調達のスピードが早い
- 手数料が安い傾向がある
- 審査が緩く資金調達をしやすい
他の方法よりも医療ファクタリングの方が向いているケースも多いので良く考えて利用することをおすすめします。
資金調達のスピードが早い
医療ファクタリングの一番のメリットは、資金調達の早さです。
融資を受ける場合、審査には時間がかかるためすぐに資金調達をすることはできず、振込までに数か月かかってしまうこともあります。
対して医療ファクタリングの場合、2社間ファクタリングを利用すれば最短即日での資金調達が可能です。
3社間ファクタリングの場合でも10日~2週間程度で振り込んでもらえることが多いため、こちらも融資を受けるよりも早いです。
できるだけ早く資金調達をしたいとお考えの医療機関の事業主の方にはピッタリですよ。
手数料が安い傾向がある
ファクタリングを利用する際には手数料がかかり、これは医療ファクタリングであっても変わりません。
ですが通常のファクタリングに比べて医療ファクタリングは手数料が安い傾向があります。
これは医療ファクタリングでは売掛先の信用が非常に高いためです。
医療ファクタリングで買い取ってもらう医療報酬債権は社保や国保が支払います。
これらは一般の企業とは違い倒産などの心配が極めて低く、ファクタリング会社としても確実に回収ができます。
手数料が高いとその分損をすることになるため、無駄なく資金調達ができるのは魅力でしょう。
審査が緩く資金調達をしやすい
医療ファクタリングは融資を受けるのに比べて審査が緩いのもメリットです。
ファクタリングは売掛金を買い取ってもらうのであってお金を借りるわけではありません。
そのため融資を受けるときほど厳しく審査は行われません。
特に医療ファクタリングは売掛先が国保や社保になるため信用が高く、未回収の心配がないため特に審査が緩いです。
もちろん審査があるので絶対に利用できるとは限りませんが、よほど申し込みをした医療機関の財政が悪化していない限りは利用できる可能性が高いでしょう。
医療ファクタリングで資金を調達するときの注意点
医療ファクタリングは資金調達のスピードが早いため便利な方法ですが、良いことばかりというわけではありません。
次のような注意点もあります。
- 手数料分だけ報酬が減る
- 一部は診療報酬の支払い後の振込になる
- 途中で止めるのが難しくなる
すぐに振込をしてもらえると気軽に利用してしまうことも多いですが、注意点もしっかりと確認した上でファクタリングを申し込むようにしてください。
手数料分だけ報酬が減る
ファクタリングを利用するときには手数料がかかるため、買い取ってもらった診療報酬がそのまま前払いで振り込まれるわけではありません。
医療ファクタリングは一般的なファクタリングに比べて手数料は低く設定されていますが、それでも多少の手数料はかかります。
資金調達がギリギリの場合、手数料のせいで赤字になってしまう可能性もあるので注意しましょう。
一部は診療報酬の支払い後の振込になる
一般的なファクタリングでは売掛金から手数料を引いた金額をすぐに振り込んでもらえます。
ですが医療ファクタリングでは医療報酬から手数料を引いた金額が2回に分けて振り込まれるのが一般的です。
これは医療報酬を国保や社保に請求しても、それが100%認められるとは限らないためです。
国保や社保が審査をした結果、医療報酬が減額されることがあり、もし全額を一度に振り込んでしまうと、ファクタリング会社は差額分だけ損失を出してしまいます。
そのような事態を避けるために、契約後に80%程度が支払われ、残りは医療報酬が支払われてからそれに応じた金額が支払われるので覚えておきましょう。
途中で止めるのが難しくなる
医療ファクタリングは一度利用し始めてしまうと、途中で止めるのが難しいので注意が必要です。
医療報酬は国保や社保に請求してから2ヶ月ほど経ってから振り込まれるのが一般的です。
もし途中で医療ファクタリングの利用を止めてしまうと、そこから次の医療報酬が振り込まれるまでの間は大幅に報酬が減ることになります。
例えば1月・2月と医療ファクタリングを利用し、3月からはファクタリングの利用をやめたと仮定します。
その場合、3月の医療報酬が振り込まれるのは2ヶ月後となるため、それまでは収入がなくなってしまうのです。
結果資金繰りが厳しくなってしまうので、利用し始める際には注意が必要です。
まとめ:医療ファクタリングならスピーディーな資金調達が可能!リスクもあるので計画的な利用を
医療ファクタリングは医療機関用の資金調達法ですが、売掛先の信用が高いことから一般的なファクタリングに比べて審査が甘く、手数料を抑えて資金を調達できます。
また本来なら受け取りに2ヶ月ほどかかる診察報酬をすぐに受け取れるため、早く資金を調達したい場合には便利な方法です。
ただし一度に全額を振り込んでもらえるわけではなく、また途中で止めるのが難しいといった注意点もあります。
メリットもデメリットも理解した上で医療ファクタリングで資金を調達してください。